終わりにしよう・・・と言う事で、オペラ座のレポをさっさと書きあげてしまおう。
この4月から職場の人事は大きく変わるわ、システムは一新されるわ、ただでさえ忙しい時期だってのに査察はあるわ、製品の出荷に関するミスが相次いで本社には怒られるわで大変なんっすよ。
ストレス耐性はかなり高いであろう、うちの課長(エグザイルの好きな今時の54歳)も、今回ばかりは落ち込んでいるみたいです。
しかし起きてしまった事は悔やんでも元には戻せないので、ミスの原因分析をしっかりと行い、適切な対応策を執るしかないでしょうなぁ。
個人的には、能力を超える事をしようとする(させようとする)と、結果として必ずどこかでミスが出るのだと思いますね。
例えそれが、役職上当然出来なければいけない事であったとしても。
いまだに年功序列で、能力的に問題があっても一定の年数勤務していれば役職に付いてしまう、我が組織の欠点でもあるのですが。
で、なんですか。
オペラ座開幕当初に拝見した笠松クリスティーヌ。
歌も比較的安定していたし、演技もクリスティーヌ個人としては、よくまとまっていたのではないかと思います。
わざわざ”クリスティーヌ個人としては”という一文を入れたのには理由がございまして、何と言いますか、ファントムからもラウルからも、微妙に距離を取った演技だったように思うんですよ。
あからさまに目を背けてはいないけれども、かと言って傍に寄り添うような親密さはなく、相手が一歩前へ出たら一歩下がり、一歩下がったら前へ出るような、ある意味絶妙な距離感を保ったクリスティーヌでした。
実はそれを悪いと言う気はありませんで、甘えさせてくれオーラに満ちたラウルと、眼のイってしまった狂気のファントムに向き合い、それぞれを受け止めるのは並大抵な事ではありませんし、そんな事をしていたら笠松さん自身が潰れてしまう。
皆過酷なロングランの中で自分を支えるのに必死で、僅かな余裕でもって相手と向き合っているのであって、相手の全てを受け入れるなんて事は、よっぽどの力がない限り出来るはずもない。
ただ一つ言える事があるとすれば、ラウルには弟に対する姉のような雰囲気を持てれば・・・『サウンド・オブ・ミュージック』のマリア役的なノリで接すれば、わりとしっくり収まるのではないかという事と、狂気のファントムに対しては、全部とは言わない、どこか1場面でいいので、勇気を持って踏み込んで行って欲しいんですよ。
その狂気の源となる、深い闇の中へ。
どこか1場面、と言う事になりますと、必然的にラストの隠れ家の場面になると思うのですが。
本当にここだけでいいので、あの狂ったファントムを真正面から受け入れてあげてください。
二つの魂が接触する時に、真っ白な火花が飛び散る。
その美しいスパークを私は観たいのだ。
後は、え〜と、[Hannibal]の女声コーラス、最高音じゃなくてその下の音(ラですかな?)を歌っている女性の声が、悪い意味で目立って聴こえました。
声を前に押して歌い過ぎで、響きがきつく汚く聴こえるんですわ。
前方に押すのではなく、上方向に響きを広げるようなイメージで声を出すといいのではないかと思いますね。
冒頭オークションのシーンで、木製のピストルとしゃれこうべ三つを持っていたお兄さん。
・・・思わず「品物売る気ないだろ!」と思ってしまった(笑)
品物の見せ方、しまい方にも、もっと神経を使った方がいいなあ。
適当に演じていい役なんて、ひとつもないんですな。
初めて拝見するメグの中里さん。
非常に頭が小さくて、可愛らしいなぁと。
お人形さんのようですね。
しかし演技の面では、少し「私が、私が」という意識が前に出過ぎていたように思います。
メグと言うのは、決してクリスティーヌを押しのけて、自分が注目されたいと考える女の子ではないのですよ。
自己顕示欲を超えた、他人への思いやりを自分の中に育てて行かなければならない。
まだお若いのだと思いますが、相手を立てる演技というものを考えるいい機会かも知れません。
この日の指揮はよっしーでありました。
うーん、前回観た時にも思ったのですが、全体的に音がぼやけているような気がするなあ。
音の輪郭がキリッと引き締まっていないので、メリハリがないと言いますか、やや平板な印象の演奏になっているんですよ。
もう少し各楽器、音の出だしを鋭く揃えて欲しいなと。
音の入りがクニャっと折れてしまっている所が多かったように思います。
[Little Lotte]のヴァイオンリンの伴奏は、穏やかな暖かい音で素敵でしたね。
ここはヴァイオリンがいいと、舞台の上の会話よりも楽器の音に耳を傾けてしまう。
いつものように長々と書いてしまいましたが、なんですな。
たまたま今月は18日しか連休がなく、前日予約でチケットが取れたから観に行ったわけですが、どうも今回の観劇はひとえに高井さんに
「無理をするな!」
と書くために、仕組まれた観劇のような気がしないでもない。
このタイミングでね。
ま、それもまたよしホトトギス、と言う事で、仕事頑張らねば!